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コラム「防災士への道」

 こんにちは!SIメディアチームのTです。今回は「防災士への道」ということで、「防災士って何?」「どうやって資格取るの?」「防災士を取得して何に活かせるの?」と言った一般的な疑問と防災士資格取得までのプロセスを筆者の実体験とともに紹介していきます。

 

目次

①防災士って何?

②資格取得までのプロセス

③防災士研修講義内容と感想

④防災士をどう活かすか

 

①防災士って何?


 防災士を一言で表すと、「地域の防災リーダー」です。みんなより少し災害に関する知識があり、みんなより少し災害時の対処法を理解しており、みんなより少し災害時の生存確立が高く、率先してみんなを助けることができるのが防災士です(僕の超主観的な解釈です)。参考程度に、日本防災士機構のホームページによると、防災士とは”自助”“共助”“協働”を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、 そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構が認証した人と書かれてありました。「防災なんて税金払ってるんだから行政に任せておけばいいじゃん」って思う方も多いかもしれません。なぜ行政などの公的機関ではなく、個々人が防災に取り組む必要があるのかを以下で説明し、防災士の存在意義も含めてお伝えします。

自助=自分の身は自分で守る 共助=協力して災害から身を守る 公助=国や自治体などの公的機関による対策

 まず、防災の考え方の一つに「自助、共助、公助」があります。公助の概念から、災害時には消防・警察・自衛隊などによる救助活動、避難所の開設、救援物資の支給、仮設住宅の建設などが行われ、事前対策として、インフラの整備や避難路の確保、建築物の耐震化への助成、避難訓練の実施、災害関連情報の周知徹底など、国や自治体は国民の生命と財産を守るために多くの支援をしています。ここで質問です。このような「公助」だけで国民の命は守れるのでしょうか。結論、守れません。実際、阪神淡路大震災(1995)で約6400人の死者が出ているにも関わらず、10年以上後に発生した東日本大震災(2011)では約22000人の死者が出ています。この間、国や自治体は何もしていなかったでしょうか。そんなことはありません。阪神淡路大震災など過去の大災害を教訓に防災に取り組んでいたはずです(自治体によっては対策のレベルに差があったと思いますが)。「公助」だけで被害を減らせない理由は、災害時に公的機関は機能できないからに尽きます。災害の規模が大きくなればなるほど、救助活動や消火活動、避難情報の共有が困難になることの他にも、災害発生の時間帯や曜日次第でも支援の質は変わってきます。だからこそ、住民一人ひとりが災害に関する知識を増やし、防災意識を高め(自助)、住民同士が助け合うこと(共助)が必要であり、減災に繋がっていくと考えられています。阪神淡路大震災の事例では、地震直後にがれきの下敷きになり、自力で脱出できなくなった要救助者が約35000人いたのに対し、その内の約27000人は近隣の住民が救出したとされています。「自助」と「共助」の重要性が高まってきた中で、注目され始めたのが「防災士」です。十分な知識とある程度のスキルを持った防災士には、地域の防災リーダーとして、災害時以外でも率先して地域の防災力の向上に貢献することが期待されているというわけです。


 因みに、下のグラフに注目していただきたいのですが、2021年12月の時点での全国の防災士の数は219193人と年々増加傾向にあります。難易度は比較的優しく、認定要件として、防災士研修講座を履修すること、防災士資格試験合格(8割以上)、救急救命講習の修了の3点を満たすと日本防災士機構から防災士として認定されます。次の章では、防災士資格取得までのプロセスを説明していきます。


           日本防災士機構ホームページより筆者作成


 

②資格取得までのプロセス


 筆者自身防災士を取ろうと思って、防災士になるためにどうすれば良いのかを調べていく際に、合格点が80点以上であることや助成金が出る可能性があること、様々な認定要件があることなど、ただ勉強するだけではなく、面倒なことが多いなと思いました。ここでは、防災士にはどうしたらなれるのかを説明するために、資格取得までの流れを説明していきます。以下では、Stepごとに解説していきます。


Step1 防災士養成研修講座への申し込み

 防災士になるためには、防災士養成研修講座の履修が必要です。研修講座は、日本防災士機構の定めたガイドラインに沿ったカリキュラムで構成され、防災や災害対応の専門家を講師として集合研修(会場研修)の形式で行われます。防災士養成研修講座は、日本防災士機構に認定された機関が実施しています。各自治体や大学等の教育機関、民間法人が実施しています。自分に都合の良い場所で行われている場所を選択し、受講の申し込みをしましょう。筆者は、防災士研修センター(民間法人)が大阪で実施していた研修講座に申し込みました。どこで開催されているのかを下記にリンクを貼っておきます。また、料金は合計で61900円と少し高額です。自治体によっては助成金がでるので、リンクを貼っておきます。該当する方は自治体に確認の上、申し込むようにしましょう。因みに、筆者は学生なので、学割が適用でき、3万円程度で申し込みできました。


防災士養成研修実施機関一覧:

助成金一覧:


Step2 防災士養成研修講座の受講(救急救命講習も込み)

 申し込みの際に出した、防災士養成研修講座の日に指定の場所で講習を受けましょう。防災士の取得には、研修講座の受講だけでなく救急救命講習の終了が必要です。基本的には、研修講座に組み込まれていますが、元々受けたことのある方は免除されます。日本防災士機構が認めている主な救急救命講習の一覧のリンクを貼っておきます。事前課題がある場合があるので、忘れないように要注意しましょう。


認められている救急救命講座一覧:


Step3 防災士資格取得試験

 研修講座を終了すると防災士資格取得試験を受けることができ、研修講座の履修と試験合格を満たすと防災士として認証されます。試験の合格点は80%で、試験範囲は申請時に配布されるテキストや研修の内容の中から出題されます。


Step4,5 防災士認証登録申請・防災士資格取得

 上記の両方が満たされていると判断されると、晴れて防災士になることができます。テストから2週間ほどで結果が通知されます。


 

③防災士研修講義内容と感想


 ここでは、私が経験した研修プログラムと感想を述べていきます。二日間にわたる研修で、1日目は1限目(9時30分〜)から7限目(〜18時10分)、2日目は1限目(9時30分〜)から6限目(〜17時10分)、最後の1時間で試験が行われるといった形でした。


筆者が経験したプログラム

1日目                  2日目

1限目 普通救命講習           1限目 自主防災活動と地区防災計画

2限目 普通救命講習           2限目 被害想定・ハザードマップと避難

3限目 普通救命講習           3限目 地震・津波による災害

昼休み                  昼休み

4限目 災害情報の活用と発信       4限目 企業・団体の事業継続

5限目 ライフライン・交通インフラの確保 5限目 災害ボランティア活動

6限目 気象災害・風災害         6限目 防災士に期待される活動

7限目 土砂災害             7限目 防災士資格取得試験


 実際に防災士研修を受講した感想は、ハードスケジュールで非常に疲れました。というのも、事前に配布される教材の予習をあまりしていなかったので、2日目のテストまでの2日間死ぬ気で勉強しました。2020年度の合格率が87%と聞いていて、俺が受からないはずがないと慢心していましたが、1週間程前から対策しておくべきだと感じました。研修の中で、津波の実験ビデオの視聴や災害による様々な弊害の例など、興味深いコンテンツも多く、勉強になりました。例えば、膝元ぐらい(高さ30センチ)の津波でも簡単に人が流されてしまうことは皆さんご存知でしたか?しかし、こうして身につけた知識も時間が経てば忘れてしまうのが人間です。防災士として、地域の防災活動への参加や個人での防災対策など、アウトプットの機会を設けていきましょう!!


 

④防災士をどう活かすのか

 

 防災士に期待される役割の一部を下図に記載しています。防災士だからといって、強制的に地域の防災活動に参加しなければならないことは決してありません。まずは、自分の身を自分で守れるように知識の蓄積と個人レベルの対策を徹底しましょう。高齢者や身体障害者などの「自助」が困難な方に優先して助けがまわるように、「自助」だけはしましょう。余裕がある人や危機意識の高い方が、地域の防災活動への参加や防災情報の共有などで「共助」を実践していけばよいと思います。仕事面でも今後活かせられる資格です。公務員の方は、防災関連の部署で活かせるでしょうし、民間企業も災害時の事業継続計画という災害時における計画を作る必要があるので、会社員の方でも資格を活かすチャンスは十分にあると思います。


 以上で終わります。ご精読ありがとうございました。


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